腰椎椎間板ヘルニアの診断において、症状の経過のインタビューや理学的な所見等と同様に重要な意味を持つのが、画像診断です。これら2つの観察結果を照合し、最終的な病名が確定されます。
また画像診断は初診だけに限らず、様々な治療の場面でも使用されます。単純レントゲン線写真では、腰椎椎間板ヘルニアに特徴的な所見は見ることができませんが、写真から椎間板の薄さや幅などはほとんどの場合分かりますので、参考データとして撮影することは多いようです。
MRIおよびCT撮影は、腰椎椎間板ヘルニアの腫瘤を写すことが可能で、とても有用な検査です。画像から、腰椎椎間板ヘルニアに間違いないということが分かり、また問診や理学所見の結果においても同様に確定的であるならば、腰椎椎間板ヘルニアと断定されます。
問診ではほとんどの方は坐骨神経痛の症状を訴えます。この坐骨神経痛は腰椎椎間板ヘルニアでの特徴的な症状です。腰椎椎間板ヘルニアでは、ヘルニアが足の先まで伸びている坐骨神経を圧迫することで、特に臀部から太股にかけてのしびれの症状が顕著です。
酷い場合には痛みで立っていることもできなくなりますので、病院まで救急車で運ばれるというケースもよくあります。その後、状態によっては手術を行うことになりますが、腰椎椎間板ヘルニアの手術は正直なところ、あまりお薦めは出来ません。
何故ならば、手術をしたとしても、痛みやしびれを再発する人が後を絶たないからです。ある病院の統計数字では、腰椎分離症の手術をした実に85%以上の方が、半年以内に痛みやしびれの症状を訴え、再来院されると言います。
医師もこのことをよく理解しているそうで、手術をする前には必ず再発するリスクや術後についてしっかりと説明し、手術を行うようです。術後はしっかりとリハビリすることが重要になり、このリハビリをしっかりと行うか、行わないかで再発するか、しないかが決まってくるようです。
また、画像診断の中で特に有用と言われているのが、MRIです。主な利点は、侵襲性が無いことと、簡単に腰椎椎間板ヘルニア形態を把握できることが上げられます。ですが、欠点もあります。それはCTに比べて空間的な分解能に劣ることがあること、撮影に時間がかかることです。
または激痛を伴う、腰椎椎間板ヘルニア患者さんの場合では、安静にすることが困難であるため、一定期間撮影を断念しなければならない場合もあります。
またMRIは閉所恐怖症の方には不向きと言われていましたが、最近ではオープンな環境で受診できるようなMRIもあるようです。撮影の結果は、経験の長い患者さんであれば、患部の推移も分かるようになることが多く、治療に対する興味も一段と深まるようです。