足の感覚がおかしいときは腰椎椎間板ヘルニアの疑いがあります。椅子から立ち上がるとき力が入りにくい、階段の上がり下りがうまくいかない、転びやすい、足がしびれる、かかとで歩くことができない、つまさき立ちで歩くことができない、足の先の感じがうすい、足の裏に紙が一枚はきまっている感じがする、尿や排便が出にくいなどの症状は、腰椎椎間板ヘルニアによって神経が冒されているために起こります。
脊髄の走っている骨のトンネルが狭くなる脊柱管狭窄症や、脊髄にできた腫瘍で馬尾神経が圧迫され、尿や排便が出にくくなり、逆に尿や排便をもらすといった障害が起こります。また馬尾神経が冒されると、足の裏や肛門のまわりの知覚が鈍くなり、排便がしにくいだけでなく、しびれなどもあらわれます。また、稀ではありますが、馬尾と呼ばれる腰椎の神経が、ヘルニアにより強く圧迫され傷つくと排尿や排便の障害を生じることがあります。
腰の痛みから外来を訪れた人に対しては、まず、腰椎椎間板ヘルニアの痛みがいつどんなとき起こったのか、その後の経過はどうか、腰椎椎間板ヘルニアの痛みはどのようなときに起こるのか、どのようなときに腰椎椎間板ヘルニアの痛みが強くなるのか、尿や排便はしっかりと出来ているのか、色々なことを詳しく聞くことから、診察が始まります。
次いで、患者さんの腰椎椎間板ヘルニアの状態をよく調べます。一方では、果たしてこの人の腰椎椎間板ヘルニアが整形外科的領域の腰痛なのか、他の内科や外科、婦人科、泌尿器科関連の病気の可能性はないかなども考えていきます。
この意味でも、太ももの付け根、膝の後ろ、足くびの前のところで、普通なら感じることができる動脈の脈拍があるかどうか、排便はしっかりと出来ているかなども確認しておきます。足にいく動脈がつまることによって腰の痛みや排便障害などが起こることがあるからです。
また腹部に腫瘍があり、腹部の中央を走る大動脈がふくらんで大動脈癌をつくり、これが腰痛の原因となることもあるからなのです。腰の痛みや足の痛み、排便障害など、このような神経の異常を示す症状があれば、すぐに整形外科で診察を受けてください。
腰椎椎間板ヘルニアだけでなくその他の病気による神経症状の恐れもあります。神経症状が神経が長いこと冒されると、何をしても回復不可能となることがありますので、出来るだけ早く診察を受け治療することです。