腰椎椎間板ヘルニアの疑いがあり、診断を受ける場合、画像検査や問診と平行して用いられるのが理学テストです。
またこれらの間で症状の一致があれば、腰椎椎間板ヘルニアの確定診断がされますが、理学テストは筋肉の緊張の度合いや衰え方などを見る上でも重要な役目を担います。ラセーグ徴候とは、神経診断学においての神経根症状をみるための検査です。
また、髄膜刺激症状としても有効です。SLR(Straight Leg Raising Test、下肢伸展拳上検査)とも呼ばれ、主に坐骨神経痛、麻痺などの鑑別に使用されます。SLR検査は腰のヘルニアを診断するものであって、頚椎ヘルニアなどの治療の診断に使用されることはありません。
またこの名前はフランスの整形外科医であるCharles Ernest Lasegueさんの名前に由来し、もともとは坐骨神経痛の仮病を装った兵士を鑑別するために用いられた手法だそうです。
腰椎椎間板ヘルニアの診断では、膝蓋腱反射、アキレス腱反射などの反射テスト、L4、L5、S1などの知覚テスト、筋力テストなど、神経学所見にたった解剖学的診断を行いますが、一般に有効性が高いものとして神経根症状をみるためにラセーグ徴候(SLRテスト)が用いられます。
仰向けの体勢で膝を伸ばし、下肢を上げ、臀部から膝下ぐらいに痛みを訴えた場合は、L5、S1の根症状が陽性と判断され、また、上げた脚の反対側が痛むことがあり、これをCrossed SLRと呼びます。
また、ほとんどの場合、片側の坐骨神経痛が発見されますが、腰椎椎間板ヘルニアの位置や大きさにより両側に見られることもあります。そして、両側に坐骨神経痛が発見され場合、重度な症状として診断されます。
左足にしびれが出ている場合は、右側の腰椎が圧迫を受けており、右足にしびれが出ている場合は、左側の腰椎が圧迫を受けていることになります。しかし、両側に坐骨神経痛が出ている場合、左右両方の腰椎が圧迫を受けていることになります。
その場合、手術を勧められることがほとんどになります。しかし、ここまで腰椎椎間板ヘルニア症状が進むと、手術をしたとしても完治させることは難しいかと思います。ですが、腰椎椎間板ヘルニアの完治が出来ないとしても、痛みやしびれを緩和させることは出来ます。
そして、その後のリハビリによって、腰椎椎間板ヘルニアが再発するか、しないかが決まってきますので、患者本人のやる気次第ということになります。腰椎椎間板ヘルニアは油断をすると、すぐに再発することがありますので、その点は注意が必要です。
また、梨状筋に問題があるために神経痛を発症した場合、この特徴は見られず、また、片足を上げた状態で痛みを増強するようなこともありません。ラセーグでは筋肉の緊張の度合いが低いケースに痛みが無い場合もあります。
ラセーグの他には、FNSテストと呼ばれるものがあります。これは逆にうつぶせの状態になって膝を屈曲しながら下肢を持ち上げ、L3、L4の神経根が圧迫されていると、この結果大腿前面に痛みが起こります。
ラセーグ徴候のように、腰椎椎間板ヘルニアを診断する際、色々な方法を用いて診断をしますので、一つの方法として頭に入れておくと良いかと思います。